元本を80%も膨らませた手法をランキングで見るまず、自宅で売買をした感想は「会社でディーリングするのと比べると設備面に弱点がある」のだそうだ。証券会社のディーリング部では、『東証端末』という東証参加者の証券会社だけが使える端末があり、これで直接注文が出せたりもする。
この東証端末はスグレモノで、個人投資家であれば売り買いとも上下5本(大証は8本)ずつしか見ることができない板情報を、指値が入っている価格全部見ることができるのだ。そのため、通常の板情報からは見えない大口の売り注文が判ったり、それぞれの件数まで見れるため、「変な注文」に早い段階で気付くことができる
また、自宅の場合、「情報入手に不便している」という。証券マンであれば、Quickやブルームバーグといった情報端末が各人に準備されているため、これでタイムリーなマーケット情報を手に入れることができる。しかしネット証券の場合、いくら投資ツールでリアルタイム情報も見れるといっても、やはりもの足りないレベルなのだそうだ。
そして、「ネット証券経由で発注した場合とディーリング当時では、注文が反映されるスピードに差がある」とも。例えば、日経225銘柄すべてをバスケットで3億円買うとして、その買い注文を発注して市場に出るまで、証券会社の使うシステムなら約3秒で反映されるるそうだ。システム増強に莫大な資金を投じてきたからこその力技だが、このあたりの発注スピード差が有利に戦う武器なのである。
そのため、ディーラー当時の売買手法では厳しいと判断し、インフラ面で不利な自宅での株式売買用の投資手法を採用しているというのだ。
元市場関係者の個人投資家は「夜間取引」がお好き!?まず、A氏はポジションのほとんどを「オーバーナイト」(翌日に持ち越すこと)するそうだ。デイトレといえば、寝ている間の米国株式市場の急落リスクなどを回避するため、当日中には手仕舞いしてしまう売買スタイルである。しかし、「今の相場は寄り付きが高い日が多いから、寄り付きで買ってもデイトレでは抜きにくい相場」だといい、A氏は買った株を持った状態で朝を迎えるのだそうだ。
そのため、いかに寄り付き(始値)が高い銘柄を予想し、オーバーナイトした銘柄を売却するかに勝負がかかっている。これについて、「どんなに地合いの悪い日でも、全銘柄が下がるわけではないし、中には大きく上昇する銘柄も確実にある」といい、これを予想するのだという。
ただ、A氏は「明日これが上がりそう」と予想しているのではない。「明日これがほぼ上がる」銘柄を仕込んでいるようだ。そして、その買いタイミングを"夜間取引"にしている点がA氏流といえる。
夜間取引は主要ネット証券ならすでに整備されており(手数料も安い!)、SBI証券などは深夜2時まで取引が可能だ。当然板は通常取引と比べて薄いのだが、それでも大口で買いたい(売りたい)場合を除けば売買が成立するケースが多い。ここでA氏は、夜間取引の時間内における欧州の株価指数やハンセン市場などの市場動向を自宅でチェックし、翌日の日本株市場のスタートを予測。景気敏感株が来ると読めば、夜間で自動車、ハイテクなどでも通常取引の終値以上で買って
いるというのだ。
A氏が今のところ成功している売買は、こういった地味なものだ。元ディーラーの売買ということで期待した方にとっては、やや肩透かし気味だったかもしれない。ただ、A氏が徹底しているのは「自分が好きな銘柄、自分の相場感で上がると思った銘柄を買っているわけではない」という点である。株式投資を趣味でやっていないA氏だからこそだが、これぞ株式投資で勝つための真髄なのかも
しれない。
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