裁定取引の魅力をランキングで見るアメリカの財務省は、国債の入札において1社が落札できる割合に上限を定めていました。しかし、メリウェザーの部下だったポール・モーザーは、国債を多く保有して価格形成をコントロールすることによる利益に目がくらみ、入札の名義を偽装して複数社が入札しているようにみせかけることでこの上限を突破したのです。
この違法行為に加え脱税も発覚し、モーザーは罰金に加え生涯にわたって証券取引業務にかかわることは禁止、ソロモンの社長・会長も解任という事態に発展します。メリウェザーも無傷ではおれず、罰金と3か月の就労禁止処分となりましたが、当然ソロモンを辞職せざるを得ませんでした
しかし、債権の裁定取引の魅力にとりつかれていたメリウェザーは、新規にヘッジファンドLTCMを設立してソロモン時代と同じことをしようとしました。ショールズとマートンの両教授や元FRB副議長のデビッド・マリンズを取締役として招き、ソロモン時代の部下やマートンの教え子の金融工学のエースたちで構成されたチームを率い、ソロモン時代に荒稼ぎしていた手法にさらに磨きをかけて取り組もうというのです。
その自信は手数料設定に表れています。ヘッジファンドが取る手数料は、投資資金の1%と利益の20%、というのが相場でしたが、LTCMは「1%と20%」ではなく「2%と25%」でした。
しかも投資額は最低1000万ドル(現在の相場で約90億円)、申込から3年間は解約不可、という条件でしたので一般の個人を対象にしたものではありませんが、金融機関や大学の基金、映画スターや有名スポーツ選手の個人資金を集めることに成功したのです。日本の投資家で最大だったのは住友銀行(当時の名称)でした。
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